ニュースにならないアメリカ地方都市の自粛生活を聞いてみた

ようやく日本全体で緊急事態宣言が解除されました。
前と同じ日常、というわけにはいきませんが、ずっと閉まっていた「生活必需品」以外のお店が開いて、それらを見るだけでも、なんとなくホッとした気持ちになります。
自粛生活の間に流行ったもの、といえば「オンライン飲み会」でしょうか。
わたしも流行りにのっかってやってみました。
せっかくの「オンライン」。なので、普段はなかなか会えないアメリカに住む幼なじみを誘って、初の「オンライン飲み会」をやってみたのですが、このコロナ禍でアメリカと日本と同じこと、違うことなんかを感じたので、それをお伝えできればと思っています。

目次
1.アメリカ地方都市のコロナ禍
2.新しい生活様式について
3.オンラインコミュニケーションで知る新しい文化

1.アメリカ地方都市のコロナ禍

アメリカ、といえばコロナウィルスの被害が甚大な国という印象ですが、友人が住むのはインディアナ州という地方都市です。

インディアナ州の人口は約673万人(2019年)。感染者は現在で約3万2千人。
ちなみに東京23区の人口が約927万人(2020年)。感染者が現在で約4,400人。
これだけ比較すると、やはり感染者はインディアナ州の方が多い気がしますが、彼女が住むエリアは州都インディアナポリスから車で1時間ほどの郊外の学術都市。

それでもアジア人差別があるのでは、と心配して2月初旬に送ったメッセージの返信はこんな感じでした。

コロナの件は、ここでは全然、と思う。大学は上海に留学させてる(大学のプログラムとして)学生を旅費負担して呼び戻したりはしているけど。そもそもここはアジアからの留学生や教職員が山ほどいて、娘の学校も1/5くらいはアジア人なくらいなので、ちょっと普通のアメリカの事情と違うかも。

しかし3/22にstay-at-home order(いわゆる都市封鎖、ロックダウン)がはじまり、4月初旬にはこんな感じの返信がありました。

いまのところうちの近辺は人口の割に堪えてる感じ。人口17万強のところに昨日の時点で19人。州都のインディアナポリスがやっぱりけっこう大変で、州全体だと3000人超えたらしい。
アジア人差別のニュースも見るけど、うちのごく身近な周辺はもともとアジア人人口がすごく多いのと大学関係者が多くて人種が多様なのをポジティブに受け入れてくれてるエリアなのもあるし、そもそも、先々週から州でstay-at-home order が出てるので一応4月6日まで、延長される可能性も高いけど、不要不急の外出はできないからね。
学校は3月半ばから春休み1週間のところを2週間に延長して、今週水曜からE-learning が始まったんだけど、当初4月いっぱいの仮予定だったのが昨日、今年度は(学校が)再開しないことが決まって、娘はがっかりしてます。
今日はなんと息子も幼稚園の先生とzoomミーティングデビューだよー。

この時点でE-learningの導入がはじまっているのか、と感心して聞いてみたら、こんな回答がきました。

E-learning はほんの2年くらい前だと難しかったかも。
家にデバイスが無いとか足りない(兄弟姉妹みんなだから)人は学校からChromebookが貸し出されてるんだけど、娘の学校は2年前に新校舎に移るまで人数分全然なかったから。
でも3年生くらいから宿題がオンラインでも紙でもっていうのが出てきて今は先生や教科によっては時間全部オンラインだし。
学校によっては前から大雪とかでも休校扱いにせずにオンラインでやってたとこがあるらしく、そういうとこは対応もしやすかったのかな。

しかしその後、学校は再開されずそのまま夏休みに突入することが決定しました。

「オンライン飲み会」を開催したのがインディアナ州の日付で5/22の夜、日本は5/23の朝。インディアナ州では5/3にstay-at-home order解除、大阪でもこの日、緊急事態宣言が解除されました。
わたしたちの「オンライン飲み会」は彼女のほかにもう一人、滋賀県に住む幼なじみと3人で開催していました。(まあ日本朝だし、インディアナ州の友人は授乳中で飲めないし、正しくは単なる「おしゃべり」なんですが(;^ω^))
滋賀県在住の友人とインディアナ州在住の友人の上の子どもは同じ年齢なので、学校状況を聞いてみると。(ちなみにどちらも公立の学校に通っています)

【滋賀県】
4月初旬に登校日があり、紙ベースの宿題配布。宿題の提出等は親が学校まで持っていく。
5月下旬から交代制での登校がはじまり、6月初旬に授業再開が決定。
夏休みは8月1日から3週間との連絡があった。

【インディアナ州】
授業は週3回程度オンラインで。6月からは夏休み。
サマーキャンプ等、夏休みの過ごし方をどうするかで頭を悩ませている。
新学期は従来通り8月初旬からで変わらない予定。

学習時間不足で「9月入学」案なども検討されていた日本ですが、インディアナ州もオンライン授業があるとはいえ、通常よりも学習時間は少ないもよう。それについて議論みたいなのはないのか、と聞いてみると。

実はよくわかっていないけれど、こっちでは1年間でこれだけのカリキュラムをしますよ、っていう決まりがないみたい。ここで一区切りみたいな形はあるけれど、日本でいうところの幼稚園から高校までが一貫教育的な感じがする。

確かにそこまでの長いスパンで教育を見ているなら、2カ月程度の学習時間不足は少しずつ回収していくことは可能な気がします。

ちなみに「リカバリーリベート」という一時給付金、これは4月下旬に振り込まれたそうです。彼女は「振り込みましたよ」というメールをもらってはじめて気づいたそうです。
これについ「すごいなあ。わたしたちまだ申し込み書類どころか、マスクも届いてないよ」と言ったら、これは税金の納め方の違いかも、との返答。
アメリカでは日本の確定申告的なものを納税者個人で必ずやらなくてはいけないそうです。
その際にタックスリターン用の口座を登録していたため、特に申請も必要なくその口座に入金されたとのこと。
わたしが驚いたのは、その確定申告的なものに友人が「アプリ」を利用しているということでした。
アプリは有料なのですが、なしでやるより手軽なため利用しているようで、いろいろな難しい手続きが緩和される「アプリ」の開発は、これからの日本でも進んでいくのかもしれません。

2.新しい生活様式について

ここまでをきくと、日本がすごく遅れているような気がしてくるのですが、5/3にstay-at-home orderが解除されてから現在感染者は増加傾向とのことで、5/22は彼女の住むエリアで20人程度の感染者が出たということでした。
知人に感染者が出たという話はないけれど、いまだその存在は「よくわからないから不安」なので、外食やショッピングを完全復活させているわけではないそうです。
ただ10年以上になるアメリカ生活で今まで見たことがなかった「マスク」が販売されているのを見かけるようになったとのこと。

hachipachi88さんによる写真ACからの写真

日本での死亡者数の少なさは世界でも不思議がられているところではあります。
インターネットで論議されている理由は下記のようなものがありました。
●BCGワクチン接種率の高さ
●キス、ハグ文化がないこと
●マスク使用が一般的である
●室内の土足厳禁等、清潔度の違い
●重症化リスクの高い肥満人口が少ない

ちなみにインディアナ州在住の友人の感想はこうでした。
「日本では軽い病気でもすぐに病院に行くけれど、こちらではそうではない。健康診断とかがあるわけでもないから、気づかず基礎疾患を抱えている人が多いのでは。」
何がどこまで真実かはわからないのですが、「室内では靴をぬぐ」等アジア圏の生活様式を取り入れだす欧米諸国もあるようなので、マスクの着用といい、欧米諸国は「習慣」レベルの「新しい生活様式」がはじまっていくのかもしれません。
そして日本の「新しい生活様式」は、これからの生活の中で何がどのように変わっていくのか、しっかりと見ていきたいなと思っています。

3.オンラインコミュニケーションで知る新しい文化

ところで、オンライン会議に家族(主に子ども)が乱入したほっこりネタをSNS等でたくさん見ましたが、わたしたちの「オンライン飲み会」にも、両方の友人の子どもが乱入。
すみっコぐらしについてちょっと知識を増やしたりして、普段の友人との飲み会では知りえない文化に遭遇できたのも自宅どうしでつながるオンラインならではかもしれない、なんて思いました。
わたしたちはスマホで「オンライン飲み会」をしていたので、ふといつから子どもにスマホをもたせるのか聞いてみたら、滋賀の友人は「中学生になったら持たせることを考えている」。そしてインディアナ州の友人が答える前に、彼女の娘さんが「ほしい!」と即答。
とは言え、前述したように彼女の娘さんはすでに学校の必需品として自分の「Chromebook」を持っているのです。
だからスマホの機能はほとんどそれで賄える。なぜほしいかというと、「運動したりしながら音楽を聴きたい」からだそうです。

acworksさんによる写真ACからの写真

それならば、逆により小型のiPodとかでいいのでは?と言うと、いわゆるサブスクリプション配信アプリで音楽を聴くため、mp3再生機的なガジェットはもう使わないんだそうです。
限りなくスマホに近いミュージックプレーヤーを持つくらいなら、スマホ本体がほしいというのは納得の理由。

そう言えばわたしの自粛生活中、特にゴールデンウイークに最も活躍してくれたのは、コンテンツ配信のサブスクリプションサービス。コンテンツ単体での発信も増えてくるでしょうが、今後どんなサブスクリプションサービスが登場するかも注目してみたいと思います。

ところでSOEIでもイベントのオンライン化に伴い、必要な動画をこの期間に制作させていただいておりました。イベント類の完全復活は残念ながらまだ少し先のことになるようですし、今後ふたたび感染症の流行がやってくることも、残念ながら十分に考えられます。
動画を活用してみたい!と思われている方はぜひこちらよりお気軽にご相談くださいませ。
(公開日:2020年5月28日)

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